医療保険制度や診療報酬の仕組みを理解している医療事務スタッフは、医療機関では欠かせない存在です。業務は医療機関内での患者受付け、治療費の計算、診療報酬明細書作成、カルテ管理、病棟クラークなどです。
医療事務の資格は民間資格で、国家資格ではありません。そのため、この資格がなければ、医療現場で働けないということはありません。ただし、資格があれば、就職・転職の際はきちんと評価されます。
ここで注意したいことは、医療事務の資格の種類は1つではなく、受ける講座(主催団体)によって違いがあり、その数はなんと約50種類もあるということです。
そこで、「自分にとって必要な資格はなにか?」をよく考え、目的に合った講座を選ぶことが大切です。そして、最終的には「診療報酬請求事務能力認定試験」を目指しましょう。ちなみに、「診療報酬請求事務能力認定試験」は、医療事務の最高峰で最難関試験です。
医療事務管理士の資格の内容
医療事務管理士技能検定試験は、技能認定振興協会(JSMA)が主催団体です。1969年から実施されている資格で、平成17年10月に特許庁より登録商標が認められました。
医科と歯科があり、医療機関の認知度も高く、多くの有資格者が現場で活躍しています。
診療科にこだわらないなら医科、歯科医院・クリニックへの就業を希望するなら歯科を選ぶと良いでしょう。
※(R)とは登録商標の意味
医療事務試験の内容
医科か歯科のどちらかを選択し、何れも実技・学科の試験を受けます。
実技試験
診療報酬明細書を作成するために必要な知識
学科試験
- 法規(医療保険制度・後期高齢者医療制度・公費負担医療制度等についての知識
- 医学一般(各臓器の組織・構造・生理機能・傷病の種類についての知識)
- 保険請求事務(診療報酬点数の算定方法・診療報酬明細書の作成・医療用語等についての知識)
実技・学科試験とも資料などを参考にして答案作成が認められています。試験は、現在使用されている診療報酬点数表に基いて実施されます。
試験日
試験日/年6回(奇数月の第4土曜日)
合格点
実技試験
作成・点検の問題ごとに50%以上の得点をし、かつ3問の合計が70%以上(いずれか1問の得点が50%未満なら不合格)
学科試験
70点以上(100点満点)
資格取得条件
性別、年齢、学歴は問われません。
平均合格率
合格率は約50%
(技能認定振興協会による)
解答形式
実技試験
診療報酬明細書を手書きで3問作成・点検する
医科/外来2問、入院1問、歯科/外来3問)※3問中1問が点検
学科試験
マークシート(択一式)10問
例題(医科)
設問
次の各項の説明のうち正しいものの組合せを下記より選びなさい。
a.国民健康保険に加入している世帯の世帯主とその家族は、全員が被保険者である。
b.生活保護を受けている患者が75歳に達した場合は後期高齢者医療制度の対象とならない。
c.上位所得者である67歳患者が慢性腎不全で人口腎臓実施となり特定疾病療養受領証を受けた。自己負担限度額が1ヶ月10,000円となり、超過分は高額療養費として現物給付される。
d.診療報酬の請求権の時効は5年である。
e.組合管掌健康保険の被保険者が月途中に退職し、そのまま任意継続被保険者(給付割合変更なし)になった場合、レセプトは1枚にまとめ変更後の記号・番号を記入する。
1.a,c 2.b,d 3.a,b,e 4.b,c,d 5.eのみ
答え 3
医療事務管理士の勉強方法
診療点数早見表に慣れることです。試験の時間内に素早く点数表を使いこなして解答することが合格の秘訣。
過去問題と予想問題を繰り返し解いて答えを暗記するまで頭に入れましょう。
資格取得後はどんな仕事に就けるか
- クリニック(受付、会計、保険請求)
- 保険調剤薬局(受付、会計、保険請求)
- 検診センター(健康診断、人間ドッグの受付・会計)
- 健康保険組合(レセプト審査)
- 保険請求審査代行機関(レセプトの内容審査)
- 医療コンピュータのシステム会社(システムの構築)
- 損害保険会社(医療機関から保険請求された自動車事故などのレセプトの審査)
※レセプトとは診療報酬明細書
医療事務管理士の平均年収
医療事務の一般事務職レベルの正社員(正職員)では300~400万円程度と言われています。医療事務のほかに、経理や総務の知識があるとさらにアップします。
従来、医療事務の資格を持っていると職場に復帰しやすいといわれてきましたが、最近の医療機関では「診療報酬はコンピューターで計算」が主流です。
そのため、必要最低限のパソコンスキルも重要になってきます。
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